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 海外 短信

2005.3号

  サウラーグループの独シュラフォルスト社は昨年暮、同社の自動ワインダ「オートコーナ」の糸継ぎスプライス方式に"ウォータ・スプライサ"を加えたと発表。これまで主に綿や混紡糸にエアスプライサーが採用され、村田をはじめ伊サビオなどを含めエアスプライス方式が主流となっているが、シュ社は新たに糸抜けしやすいコアヤーンや特殊糸向けに開発したもの。恐らく空気で解繊して糸端同士をからめる時に渦流水を用いたものとみられるが、結び目が乾くと抜けやすくなることから、恐らく水に水溶性ボンドを混ぜているのではないか、というのが関係者の見方。

  独フォルクマン社(サウラーグループのダブルツイスタ専門メーカー)は「リネン糸(麻糸)専用のダブルツイスタ」の改良型を発表した。リネン糸の撚糸はスリップし易く、従って撚りムラが起こりやすいため、これまで主にリング撚糸機でテンションに気を使いながらパーン揚げしてきたが、製織にはコーン巻き返しなどの工程が加わるなど生産効率は低かった。同社では特別なアセンブリワインダ(合糸機)とともに撚糸工程の生産合理化を図るべくスピンドルとテンション装置、さらにチーズまたはコーン揚げ部にも改良を加えて開発したとしている。
 1980年前後に日本をはじめ欧米先進消費国で麻糸あるいはウール麻混使いが主に夏物衣料(紳士・婦人物スーツや一部肌着)として大流行したことがあった。今年の夏は欧米で猛暑と予想されていることから、ひょっとして4半世紀ぶりに、麻ウール、麻綿混(あるいは吸水性ポリエステルとの混紡糸なども含め)が急浮上するかも知れない。こうしたファッションの大半は欧州から日米に拡がるものだが、もしも麻混ブームを呼ぶことになれば「日米をパッシングして、いきなり暑い大陸で成長著しい中国の若者に直接飛び火する」かも知れない。

  韓国サンバンウールグループの奏光産業(Tae Kwang)は一昨年、協力関係にある東洋紡の協力を得て「中国現地でスパンデックス進出計画あり。ただし進出先や設備規模などは不明だが、'04年末には工場を立ち上げる方針」と報じた。しかしその後の具体化について目下のところ目立った動きはなく、進出計画は延期したか断念したのではとの見方が強い。
 韓国からスパンデックスで中国進出を果たしているのは暁星(Hyosong) のみだが、日本からは旭化成が蘇州で昨年から操業を始めているほか、米デュポンは約6年前から上海地区で大型プラント(工場・設備すべて東レエンジが納入)で進出するなど早くから同糸の急拡大が注目されていた。しかし昨春来、原料高にもかかわらず糸の過剰生産から市況は悪化し、対前年比で30%前後の暴落で推移し、国営私企業合わせた中国側の10数社の工場のうち大半は赤字操業、中には操短どころか工場の一時停止も出ているといわれる。
 中国当局でも生産の実態を把握しておらず、認可したプラントの生産能力(全国推計で日産130〜155tではといわれている)からみて、すでに設備過剰の状況にある。従って、一部工場では糸の生産を絞り、確保したモノマーまたはポリマーを例えばラバーフォームなどカーシートなどのクッション材向けに転換しているところもあるとしている。

以 上