'05年5月

<TOPICS>

−最近の繊維機械展出品機の傾向


 JIAM(5月18日〜21日、インテックス大阪)は、アパレルマシンショーと銘を打っているが、繊維資材のほか工業用ミシン、多頭刺しゅう機などが中心。また布地や製品では蝶羽根のような彩光変色布、紫外線遮断布のほかスパンデックス糸使いの、いわゆるストレッチクロス、それに難燃・耐火繊維(カーシートも含まれる)など産資用が急増している。また繊維機械ゾーンでは日阪製作の染色機、日本マイヤーの特殊タテ編機などが出展を予定している。

 産資・不織布専門の国際見本市としてドイツ・フランクフルトで開催のTECHTEXTIL(6月7日〜9日)も地球環境や自動車・物流の変化発展によって、供給素材・製品がどう対応しつつあるかを調べるうえで参考となる見本市だといえる。というのも、衣料普及製品の輸入品急増によって日本や欧米の繊維工業が空洞化し、産資用や医療衛生、包装材、土木建築、スポーツレジャーなどへと転換特化させつつあるからだ。

 北京と隔年毎に開催のShanghaitex(6月3日〜7日)に日本から約25社が出品申込みしている。デモから2ヵ月も過ぎれば平常に戻って活気を取り戻すと思われるが、彼等は潜在的に嫌日意識をもってこれまで日本のメーカーと接してきたかと思うと、複雑な気持ちになる。
 日本の主な出展社は豊田,津田駒、島精機といった編織機、村田の撚糸・自動ワインダ、ジェット染色等の上向きで日阪、東伸、初出展の京都機械、そのほか常連の神津、ニッタなど。

 ※Saurerグループの上海展への出品案内CDをチェックしたところ、例えばBarmagはタイヤコード用紡糸巻取装置を、Zinserはデニム用の太番手向けリング精紡機、その他パネルやパンフなど参考資料としてVolkmannやAlma(現地KD生産)が6〜70’S 糸の汎用ダブルツイスタ、更にガラス繊維用撚糸機も中国市場に力を入れるとしている。その他Schlafhorstの自動ワインダ(このほど発表したウォータージェットスプライサのほか、サーモスプライサを加え、従来のエアに加えて糸種に応じた対応、すなわちバリエーションを拡げて多種少量生産糸種、いわゆるニッチ市場にも浸透させようという戦術を取り始めた)当然ながらロータ空紡機も出品するが、これまでの織糸用主力から高級メリヤス糸(ニット糸)で中国市場に打って出る意向とみられる。
 日本の合繊各社はタイヤコードやエアバック、シートベルト、カーシートなど乗用車など運輸関連向け産資・インテリアが目下の主流であり仕事も忙しい。海外事業でも産資への転換を急いでいる。紡績では極細綿糸から高級デニム向け太番手まで幅広い差別化商品を手がけているが、フィラメントやスパン糸による、いわゆるビッグヒット商品がここ10数年来出現してこなかった。
 そうした一種閉塞状態からどう抜け出すのかが今後の課題だが、欧州メーカーは果敢かどうかはともかく、産資向けや高級多様対応の繊維機械あるいはプラントを中国で展開しようとしていることに、日本のメーカーとして留意しておくことが肝要と思われる。


以上