2005.6号
'04年(1月〜12月)繊維機械統計から読み解くもの
「日繊協」がまとめた'04年1〜12月の繊維機械の生産・輸出入統計によると、ここ数年来、いかに中国市場に頼ってきたかを物語る統計が並んでいた。特に昨年初からの金融引締め、更に設備過剰への警戒感が相乗して、新規発注が下半期にかけて急減したことが響いて全体を押し下げた。
それでも対前年比で僅かな減少で済んだのは、対中受注残で食い延ばしてきたから。しかし後半はさすがに息切れ気味で、そのまま低迷が今年に持ち越しそうな気配となっている。
中国に進出した繊維企業は、ますます現地生産のウエートを高めようとしている。これら工場設備の大半は日本製である。しかも取引きは国内で行われるため(補充部品も同様)機械の生産額と輸出額の乖離は年々拡がっている、といった実態も知っておくべきだろう。
過去10年の織機とニット機械の生産・輸出金額を比較すると、以前に比べてニット関連がここ数年来(一昨年を除いて)ずっと追い越していることが分かった。丸編機や横編機特にコンピュータ柄出しなど高級機の成長が目立つ。これらの仕向地は意外に香港向けが多い。恐らく彼等コンバータがニット機を買って中国広東地区に持込み、賃編みさせ商品を香港経由で世界に発送するシステムが出来上がっていると見てよい。これは流行柄や編み仕様をライバルや中国他社に漏れないよう警戒していることがその理由。
ここ10年来、特筆する傾向が「部用品の輸出入」が機械本体に比べて高いウエートを占めていることである。特に中国との往復が目立っている。高精度の部品を輸出して現地で組み込むことが多くなっていること。逆に中国からの輸入部用品はフレームやシャフト、板金加工物や樹脂部品などで、特に精度や性能に影響しないものが多い。但し部品の輸出は今後徐々に減少するのではないか。現地で取換え部品のコピー物が増えつつあるからだ。
さて、今年の見通しを統計から見る限り「ジリ貧」という予想が成り立つ。今年は6月に上海、10月のITMAアジア(シンガポール)が開催されるが、中国向けの落ち込みをアセアン諸国や印パなど向けでカバーできるかどうか。成否は別として見通しぐらいはつくのではないか。ただアジア市場は今後も厳しいことに変りはない。引続き"安くて高性能"そして"操作・保守の容易なITによるワンタッチ機械"更に加えて"省エネタイプ"が時代の流れとして、常に意識していれば、需要も自ずとついてくるのではないか。